このごろ - 15
こんばんは。原百々子です。夜分遅くに失礼いたします。
このごろ、暑すぎません……?
一日一個のご褒美
暗いきもちでスーパーへ出向きました。ボディソープを買うためです。「スイカバーの素」なんてあるんだ、と眺めていたら、「一日一個のご褒美、探してくる!」と青年が横切りました。一日一個のご褒美、一日一個のご褒美、わたしも心のなかで唱えました。青年にとっては何気ないひとことでしょうけど、わたしにとってはひかりのようなひとことでした。こういう瞬間のために生きているなあといつも思います。
暗いきもちというのは、なんというか、一日いちにちがとても重く感じるんです。いつまで大丈夫なのかなって。自分のことも、自分を取り巻く環境のことも、社会や世界のことも。ずっと緊張している感じでしょうか。
……ここまで書いて、既視感を覚え、日記を読みかえすと、二月にも似たようなことで悩んでいました。
こどものころから、周囲の大人に「しっかりしている」と言われてきた。ほんとうはそうではない。ただいつも臨戦態勢にあっただけだ。何度もやってくるかなしみに気圧されないように背筋を伸ばし、浅い呼吸で、暮らしを睨みつけていた。22歳のいま、もう敵はおらず、耐性のついたからだは、ちょっとやそっとのことでは倒れないはずなのに、いまだに暮らしを睨みつけているわたしがいる。ただの一日を過ごしてもいいこと、その一日いちにちを重ねる権利を持っていることを理解し難いわたしがいる。
このあとに、引いているのが吉本ばななの『鳥たち』の一節でした。
多分、君たちは今の自分たちの物語に比べて、あまりにも強烈な、どこに出してもだれに聞かせても大きく心が動くような過去の物語を背負っているから、自分たちの若いささやかな物語に自信が持てなくなってしまっているんだろう。でも、小さい声で語られる物語だっていいじゃないか。それが君たちの持っているものなら。やがて過去の物語と、今の物語はひとつになるかもしれない。それが人生だし、そうやって創っていくものだし、予測はつかないけれど、ベストはつくせる。
そうだ。ベストを尽くすんだ。暗いきもちを遠ざけるにはそうするしかないとわかっているのに、いつも忘れて、怯んでしまう。
……ここまで書いて、改めてエッセイにすればよかった、と思ったので、ここまでは全体公開にしておきます。書けたらウェブサイトにも載せます。
ベストってなにも120%の力を出すことではないと思うから。その日、そのとき、持っているカードのなかでいちばんふさわしいものを選んでいけたらいいなあと思います。そして、ご褒美を探しにいきましょう。

集英社文庫はカバーがぶかぶかだから外して読む。
このごろのご褒美

深煎りのコーヒーがすきですが、違いがわかるほど、舌は肥えていないので、かわいいカップを目的にカフェに行きます。色がいい……!けっこうたっぷり入っていました。
夜中に送ってごめんなさい!強気のまま、明日を迎えたかったの。
ニュースにどきどきしたり、暑さでヘロヘロになったり。自分を労わりながら、今週もともにがんばりましょう!
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